朝、道の駅で目覚めるとクルマに積もった雪は5cm程度。
何より、いつもだったら早朝の除雪車の騒音で目が覚めるところ、目覚ましが鳴るまでぐっすりだったことからも、最強寒波というほどではなかったのかもしれない。
少々がっかりもしましたが、この様子ならスキー場までの道も積雪が少ないと思われるので、一つ肩の荷が降りたとも言える。
クルマの除雪の時間も見ていたため5時半に起きましたが、すっかり肩透かしをくらったことで6時過ぎにはスキー場の駐車場に着いてしまった。このときすでに駐車場には20台ほどいただろうか。アライあるあるですが、みなさん着くなりスキーやスノーボードを置いて順番待ちをするために、100メートル以上先にあるセンターハウスまで、着替える前に道具を持って歩いて行かれる。私はそうした順番の待ち方には批判的な立場。というのは半分嘘で、単に何度も往復するのが面倒なので、列の後方になっても準備を済ませて1回で済ませるようにしている。
朝飯を食べ、歯を磨いてから準備を整え、それでもまだ営業開始まで1時間半以上あったのですが、何やら周りからソワソワとした不穏な空気感を感じたため、まだ早いと思いながらもセンターハウスに向かうことにした。

すると、いつもならゴンドラ乗り場から始まる行列が、駐車場からすぐのホテルの入口のところでできていた。
どうやら歩道の除雪のため、ホテルのゲートからその先への入場が規制されているようだった。
この時点でご覧の行列。道具を並べて順番待ちをせず、多くの方がこうして並ばれているのを見るのはちょっと清々しい。
このあと規制が解除され、みんな揃ってぞろぞろとセンターハウスまでそぞろ歩く。そのときに不義理な主人に置き去りにされたボードを見るのもまた清々しい・・・否、痛々しい。
建物の外にエコノミークラスの列、屋内にファーストクラスの列と二手に分かれて営業開始を待つわけですが、朝一の状況では3:2でファーストクラスの方に並ぶ方が多い印象。課金を厭わない好きモノたちが集まっていることを考えればそれもそうなのですが、すでに格差が破綻している気さえする。
ファーストクラスの列に場所取りを済ませたら、チケット売り場の列に並び直して一日券を手に入れるわけなのだが、一日券はEarthHopperで購入して「ファーストクラス」のチケットを差額で別途購入する・・・と、そのときになってファーストクラスの差額追加分が5,000円に値上げされていることに気がついた・・・
アライには来るのは2シーズンぶりなのですが、2年前の差額は2,000円だったので一気に2.5倍。2年前もEarthHopperだったので、一日券の値段を覚えていないのですが、たぶんそちらも値上がりしているだろう。
そうと知っていたとしてもこの日はアライには来ただろうから、仕方がないとも思うが、5,000円だと知っていたらエコノミークラスで済ませる選択肢も考えたかもしれない。これからはズボラをせずに事前に調べておくようにしよう・・・
さておき、朝起きた時の積雪はたいしたことなかったのですが、スキー場に着いてから降雪量が増えて来た。標高の高い場所では夜のうちから降っていただろうから、これは期待できるぞ!
通常営業開始時間8時30分よりも30分早くゴンドラに乗車できるファーストクラスですが、私が乗車したのは8時10分。エコノミークラスが上がってくるまでの数十分間がチャンスタイム。
「コース外滑走がメインコース」と言っていいアライですが、最初はコースに積もったゲレパウを狙う。
まずはスキー場最上部になる『ビーフリー』に飛び込むと、吹き溜まりですでにコシ深!
ただ、ガスに加えて猛吹雪のため視界が悪く、進行方向10メートルくらいの直線視界はあるのですが、面ツルの斜面は起伏が全く分からない。檄ムズパウダースノー。
と、ここで悲報・・・
最初の1本目でInsta360 X4 Airを自撮り棒ごとなくしてしまった・・・
セルフィスティック・ホルスターに取り付けた状態で滑っていたのですが、リフト乗り場に戻り録画を停止しようと思ったらもうなかった・・・
優先される数十分に焦りすぎてホルスターに慌ててはめたため、しっかりと固定されるポジションになっていなかったのだろう。セコい気持ちが生み出した凡ミスだ。
雪はボッコボコに降り続けており、加えて極めて視界も悪い。
札幌のノブもアクションカメラを落としたことがあるらしく、伸ばした自撮り棒が雪から顔を覗かせているのを3時間後に発見したというが、自撮り棒は畳まれた状態だし、何より乱視の私にこの視界不良の状況での発見はまず不可能。
あとでスキー場に紛失届を提出しておきましたが、私の元に戻ってくる可能性は極めて低いだろう・・・
回収することはさっさと諦め、せめてファーストクラスに課金したぶんをきっちり回収すべく、残りの1分1秒を惜しんで深雪を滑り続けることにする・・・
3本ビーフリーを滑った頃にエコノミークラス組が上がって来てリフト乗り場が混み始めた。
ただ、ファーストクラスは優先レーンからリフトに乗れるためほぼ待ち時間なしで回せる。
悲しみを振り切るように、一心不乱に滑り続ける。

いよいよここでコースを出て「フリーライディングゾーン」に入っていく。
まずは膳棚リフトに近いコース脇に位置する『船石』へと向かう。
とてもスキー場の一部とは思えない、この完全なバックカントリーエリアぶりには、来る度に驚かされるが、これだけ雪が積もり、しかもこれだけ視界が悪いときにここを滑るのはこれがはじめて。っていうか、もしここがバックカントリーエリアだったら滑らない勇気ある撤退も選択肢に入るようなコンディション。
アライというスキー場は、登山届けとビーコンが必要になるようなエリアを、リフト券だけで滑ることができるかなりクレイジーなスキー場だ。

『船石』は膳棚リフト乗り場に滑り込めるので、その日に最初に滑るフリーライディングゾーンにうってつけ。
とはいえ、ゲートからメインとなるオープンバーンへのアクセス部には、こちら向きに受けているノール部分などもあるのですが、視界が悪いためそれを見逃しそうになる。
この積雪量なのでスピードをセーブしすぎればいとも簡単にスタックしてしまうので油断大敵。
スタックする場所によっては胸ラッセルとなる場所もあり、そうした場所を抜けるには、なおのことスピードが必要になる。そのため多くの方々が雪風呂に浸かられていた。
もちろん前走者が目の前で雪風呂に浸かってしまうことも想定しながら追従しないとならないので、特に最初はオープンバーンに出るまでに神経をすり減らすことになる。
まずはそんな船石を2本回してから、ボトムで滑走禁止エリアに当たるため、それを避けるようにハイクアップしないとリフト乗り場に戻れない『膳棚ボウル』を滑る。
ハイクアップした場所にある『レジェンダリー』のゲートが開けられていたので、膳棚リフトには戻らずに、さらに下のゴンドラの中間駅である『六本木ステーション』に滑り込むことにした。
クレイジーさではアライスキー場とほぼ同点のバイタリティを備える海外勢によって、どこもすでに多くのトラックが刻まれていましたが、とても雪が軽い上に、ご覧のようにリセットさせる勢いで降り続いていたため事実上のノートラック。

被写体がないとフォーカスが合わないくらい視界が悪い。
周りに人影がなくなり、一人だけになるとまあまあ不安もよぎるのだけれど、この頃にはアドレナリンが出まくっていて楽しさの方が完全に恐怖感を凌駕してしまっている。こういった現象が起こるのもスキー場ならではだと思う。バックカントリーだったらそれなりの不安感に支配されてしまうような場面。
六本木ステーションからゴンドラに乗って登り返し、膳棚ボウル〜ハイク〜レジェンダリーをもう1セット滑る。

次は六本木ステーションからゴンドラではなく
小毛無リフトに乗って『ワセ』の上部へ。
この前日に『エキサイター』の下部で雪崩があったため、ここからそちらには落とせなかったのですが、すぐ隣に位置するワセは滑れた。
こういった状況の日は特に、コース外エリアには多くのパトロールが出張って見回りを繰り返している。
そうしたスキー場の管理努力があってこそのコース外滑走。
ここアライではそれほど厳格に、各斜面はスキー場パトロールによって管理されている。
規制ロープをくぐることの愚かさは、アライが最上級だ。
そんなワセをラインをズラしながら3本回したところで昼休憩。
バックカントリーだったらこんなに本数滑れない。否、こんなにハイクを繰り返す体力など私にはない。

もちろんこの日も『IMPOSSIBLE』。
バックカントリーエリアでのIMPOSSIBLEの操作性の高さには、まさに目を見張らされる。
SPEEDMASTERよりも長いのに、ターンの回転速度じたいはIMPOSSIBLEの方が速いので、コブやノール、樹木を避けるときの操作性、操作の正確性がすこぶる高い。
そして、誤解を恐れずに言わせていただければ、深雪を抜けていくときのIMPOSSIBLEの足応えは、まったくもってTTのそれだ。
トップは見た目以上に細く感じるので当然のようにタテに突っ走っていく。そこで生まれた大きな慣性を、無駄なくヨコ方向のターンへと変換させていくのですが、そのときの感触がほとんどフラットキャンバーのTTのようにヌルッとしたヌケ方を魅せる。
この日のような雪が軽い状況であることが前提とはなるが、IMPOSSIBLEのそうした特性を活用すれば、この長大なボードをブンブンに振り回すことができるため、深雪の中でもボードがくるっくるに回ってくれる。
普段から同じような長さのスキーを操っている私だけかもしれないが、乗っている本人には足に伝わる感触も、視界からも186cmものレングスの存在はまったく感じさせない。
まるで『ROCKET FISH』のような操作感にすら感じさせる。しかも、ROCKET FISHよりも強力な浮力とそれ相応のエッジコンタクト感が伴うので、ROCKET FISHだったら操作をミスした途端に尻餅をついてしまうような場面でも、粘り腰で後ろに傾いた体勢を立て直すことができてしまう。
こうしたフェイルセーフな特性はSPEEDMASTERやMAXFORCEにも備わるが、IMPOSSIBLEだと数倍以上容易にできてしまう。
つまり、IMPOSSIBLE カラマツヒノキは、TTの官能性と、SPEEDMASTERを超える操作性が同居する、まさにモンスターと言っても過言ではないクイーバーだ。
こいつほんとうにスッゴイ。
この異形ともとれる長大な見た目で、その本質の多くが覆い隠されてしまっている。
この見た目で乗り手を選んでしまうことは仕方がないとしても、その実ものスッゴイ万能選手であることまで隠蔽されてしまっていることは実にモッタイナイことだと心から思う。
私自身も激しく食わず嫌いをしてきた張本人なので余計に思うが、これほど見た目で損をしているスノーボードもないと思う。
このあと再度、小毛無リフトで上がって『妙高ロング』を滑って下山したのですが、尾根沿いのコースのため横風が強く、横殴りのブリザードで完全にホワイトアウトする瞬間もあった。
コースなのに方向が全く分からず、うっかりコースアウトして崖から落ちそうでかなり怖かった。アライ恐るべし。

昼休憩のため一旦駐車場に戻るとクルマはこんな状況になってしまっていた。帰るときの除雪がダルいなあ。

ランチを済ませた後の第2ラウンドも、
スキーにモードチェンジせずにIMPOSSIBLEを続投させた。
ホントに楽しいボードだ。
新たに手に入れた玩具だから、ということもあるにはあるが、少なくとも残りのシーズンに関しては、IMPOSSIBLEがこれから先の主力戦闘機に格上げされることは必至の状況。
さておき、すでにゴンドラ乗り場も閑散としていて、外の暴風雪とは裏腹に、貸切の搬器でゆったりとスキー場上部まで上がることができた。
ここは場合によってはコース外エリアが早めに閉鎖されることも多いので、これだけの荒天であれば急いだ方が良さそう。
案の定、船石を2本滑ったところで、場内アナウンスが膳棚ボウルのゲート閉鎖を告げた。
この強風とそれによる視界不良ではワセも閉鎖されるのは時間の問題。
急ぎ『ペアバレー』を伝ってワセに移動し、ワセを2本滑ってからこの日はお開きとした。
ちなみに、最後の一本まで深雪滑走を楽しむことができた。すごい日に来たもんだ。
と、クルマに戻って気が抜けたところでInsta360を無くしたことを思い出した・・・
良い雪を滑りまくったことが霧散してしまうようなことはないけれど、やっぱり凹む〜〜〜〜〜〜〜〜〜
当初はここで帰る予定でありましたが、そうした負の気分を散らす意味でも、ここは気を取り直して明日もIMPOSSIBLEで滑っていくことにしよう。
(つづく)


コメント