『WEAPONS』の監督、ザック・グレッガーが、『バイオハザード』の歴史を完全に書き直した。
とか言えるほど、私はミラ・ジョボビッチ版の映画を観ているわけでも、ましてやゲーム版をやったことがあるわけでもない。
なので、まあまあ中立な立場で観に行くことができたのではなかろうか。
とはいえ、「生物をゾンビ化してしまう薬剤が、ある研究施設から漏れ出してしまい、多くの人々が感染し、非感染者に襲いかかってくる世界で、感染を無効化する解毒剤をその研究所に探しに行く」というバイオハザード作品の大枠は知っているので、“あの” ウェポンズを生み出した人が描くラクーン・シティの姿がいったいどんなことになっているのか、楽しみに観に行くことができた。
聞くところによると、ザック・グレッガー監督はゲーム版を愛する深めのゲーマーなのだそう。
『バックルームス』はゲームではないけれど、オリジナルへの深い愛を持つ人々が大勢いると言う点では同じだろう。
映像化に際してはそうしたコアなファンの反応というものも考慮する必要がある。
ただ、さすがはゲーム版を愛するザック・グレッガー。
彼自身ミラ・ジョボビッチ版の作品は全く観てはいないのだそう。
だからこそ、純粋に「自分が映像化するなら」という自身の関心に素直に向き合い『ゲーム版バイオハザード4と7』を下敷きにしながら、自身の信じる「RESINTAL EVIL」を映像化しているのだそうだ。

そうしたアプローチの仕方を端的に表しているのが、主人公は特殊部隊の精鋭でもなんでもない、普通のデリバリー係だということ。ミラ・ジョボビッチとはえらい違い。
ただ単に、ラクーンシティにあるアンブレラ社の研究所に、解毒剤に関連するあるものを届けるアルバイトを請け負っただけの、銃もまともに扱えない普通の人間であるブライアンが、おびただしい数のゾンビが徘徊するラクーンシティをとにかく走り回り、研究所を目指すのですが、この男がまた良い意味で肚が据わっていて、手が震えてまともに対処ができないような危機的状況に対しても、余計なツッコミを添えて、観る者におかしな余裕すら感じさせる。
ミラ・ジョボビッチ演じるアイリスとは一味も二味も違った、規格外のヒーローと言っていいだろう。

それに対して、今度のゾンビは頭を撃ち抜かれても生き返る不死身系で、しかも死体同士がくっつき合って巨大化する“合体系”。
合体しながらどんどん大きくなっていく“Generic Zombies”の様は悪夢以外の何物でもない。
そんな、もう笑うしかないような相手に追われる様子を、気の利いたツッコミで返してくるので、程よく観客を和ませ、恐怖を中和しながら「こいつならなんとかしてくれるかもしれない」と、こちらに勇気をくれる。
途中からは、このプレイヤーがどうこの悪夢のゲームをクリアしてくれるのか、観客を思いっきり応援側にしてくれるところはミラ・ジョボビッチ版と地続きなのかもしれない。
そんなニューヒーローであるブライアンは、研究所に辿り着けるのか。そして、彼の運命は・・・
(オススメ度:90)


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