ここまでスタートから立て続けに大雪をいただくことができた今シーズンでしたが、この一週前は昇温で降雪はなく日帰りで近場の片品に行って済ませた。
長いシーズンにはこいういう時もあるサ。と思う反面、ここ数シーズンのことを思うと「もうこれっきりってこともあり得るよな」とも思ってしまう。そんな、どちらかというと不安要素の方が大きい時間を過ごしていたのですが、ありがたいことにその翌週にはまた低気圧と寒冷前線がやって来るとの予報が出てくれた。
今回も北陸から日本海側に大雪が降る予報だったので、妙高方面が無難だったのですが、私の勝手なルーティンに倣えば、次は白馬に行きたいところ。
日本海からは内陸に離れた白馬でも、今シーズンはよく降っているようだったので「大丈夫っしょ」と、特に気にもせずに栂池高原を目指すことにした。
ちなみにこの日も木曜夜からの隠密行動。空いている金曜日と、いつもの土曜日とを滑って日曜日は家でゆっくり過ごすのが今シーズンのマイブーム。

近頃の私が白馬で新雪が積もった日に行きたいのは栂池。目指すはDBD:Double Black Diamond」と銘打たれたスキー場に管理された非圧雪コース。DBDの滑走にはご覧の許可証が必要となる。
こちらの許可証は毎年更新が必要になる。受付がリフト営業開始時間に間に合わないこともあるので事前に取得しておくことをオススメする。私は年末に栂池を訪れた際に今季のパスを取得しておいた。

ところが・・・画像は翌朝の様子なのですが、雪はクルマに薄っすらと載る程度。
どうやら低気圧は東北の方に流れて行ってしまったらしい。こりゃやっちまったな〜

というわけで、頭を新雪からピステンカービングに切り替えることにする。

今回は『TTミズメヒノキ』も持って来ていたのですが、標高の高いところでは積もったかもしれない。とか、新雪に後ろ髪惹かれての『Q545』。とはいえ、Q545でするカービングも負けず劣らず楽しいんですけど。



トラックで荒れてしまう前に美味しいピステンをシバキまくる。
コース幅や斜度も適切で、とても「向き合える」斜面なのですが、それより何より朝イチの雪質が特に素晴らしい。
ルスツあたりと比べてしまうと、それでも80点と言ったところなのですが、私の通うフィールドの中で言えば、白馬は屈指の雪質を誇っていると思う。
噛みまくってくれるので安心して体重をエッジに預けられる雪質だ。
日本海でたっぷり湿気を溜め込んだ低気圧が雪を降らせる訳ですが、日本海に近いと水分量が多くなり過ぎる。白馬は海からの距離感がちょうどよく、しかも夜間にきっちりと冷え込む盆地地形がこの良質な雪を生み出しているのではなかろうか。
ただ、見た目と違って湿雪だったのか、はたまた汚れが浮いていたのか、場所によっては少し引っかかりを感じた。今シーズンカシワックスの滑走ワックスは『NM-8』と『ND-7』とを塗り分けているのですが、この日はQ545に塗布しているNM-8よりもND-7の方が合っていたのかもしれない。

平日のはずなのに2時間と経たずに斜面はトラックだらけになってしまった。日中は雪が固く締まってしまうのは白馬でも同じ。大きく回すためには強靭な足腰が必要となる。オジサンは向き合いすぎるとすぐに電池が切れるので、適度にズラしを活用したショートターンを組み合わせて余計な消耗を防ぐことにする。

というタイミングでDBDへのゲートにアクセスする「つが第2ペアリフト」に向かうと、運転開始前からこの長蛇の列。ちなみに、私の見立てではこのうちの90%が外国人。白馬に平日はないのである。
そして、外国の方々は我々以上にオフピステ、パウダースノーが大好きだ。
この行列を見た50名ほどの外国人の方々は板を担いでコースをハイクしはじめていた。すごい馬力と行動力。「コース内のハイクアップは禁止です」「リフトが動かない限りゲートは開けません」と係員の方が告げていたが、それは日本語で日本人に向けて発せられているので「日本の方々、どうかお気を鎮めください」という意味なのだろう。
ハイクしないで並んでいる外国人はと言えば、これだけの行列なのに、列の中に知人を見つけると10人単位で横入り(割り込み)してくる。ほとんどやりたい放題。さながら治外法権の様相だ。
昨年の白馬エリアを訪れる外国人観光客の数は271万人に上るそうで、コロナ禍以前の数を上回ったのだそう。
翻って国内のウィンタースポーツ愛好家の数は絶頂期から40%程度にまで減少している。
どっちが主役かを考えたら「郷に入れば郷に従え」とも言いずらい。ねじれ国会ならぬねじれスキー場。
ただ、彼らに見習うべき部分もあるとも思っていて、それは画像にもあるように、ヘルメット装着率の高さであったり、スキー場なのにアバランチ・エアバッグを装備したバックパックを背負っている方の多さであったりする。
昨今、日本でも「自己責任」という言葉を耳にすることが増えたが、特に欧米の方々からすると自己責任はスキー場や山岳地帯に限らない社会一般の常識だ。スキー場に来てから「ルール」という形でしかそうしたことを学ぶ機会のない我々とは、そもそも冬山に対する意識や覚悟が違っているように思える。
こんなことを言うと叱られるかもしれないが、私はそうした外国人スキーヤーたちが「滑走禁止エリア」という“鎖国”を拓いてくれたと思っている。とにかく外圧に弱いこの国の、よくある「なし崩し」的な規制緩和ではありますが、それでもなんでも滑走できる斜面が拡大したことには素直に感謝したい。
「やって失敗したら誰が責任を取るんだ」と、石橋を叩いて渡るのは日本人の美点ですが、グローバルスタンダードを見習えば「始めなければ始まらない」ことも多い。
資源の所有権と採掘権は別だったりするので、それもあっての治外法権ということか。
リスクを理解した上での事故や遭難者も増えていることも事実なので、日本人らしいルールの貫き方とを併せて、世界水準に安全なウィンタースポーツエリアを完成させられたら良いのですが。

とかなんとか、感慨に耽っている間に20分以上が経過したが、一向にリフトが動き出す気配がない。
すると、リフトの係員の方が「強風のため運転を見合わせております。ちなみに復旧の目処は立っておりません」「ウィンド、ベリーハード、トゥデイ」と伝えて回りはじめた。
さすがに堪忍袋の尾が切れた私はリフト待ちの列を離れて滑ることにした。

それから1時間以上経った頃、リフトが動き出したことを確認してから再び列に戻った。
意外にもこの位置から10分程度の待ち時間でリフトに乗ることができた。


そうしてやっと辿り着いた非圧雪エリアでしたが、数日前に積もったと思われる雪はすでにパックされており、まあまあ重めのクリーミーテイスト。並んだ甲斐があったかと言えば、かなり微妙な状況ではありますが面ツルは面ツルだ。
DBDのゲートはいくつかあるのですが、非圧雪ゾーンを長く滑れる方に行くと、またこのリフトに戻るためにはゴンドラの中間駅から乗り直すか、3本のリフトを乗り継ぐ必要が出てくる。
なので1本目はリフトを一つ乗るだけで戻れる短いコースを選択することにした。
そうしてすぐにリフト乗り場に戻れるラインを選択したことが功を奏し、私がリフト待ちの列に戻ったところで強風を理由に「本日運休」となってしまった。それでも列に加わろうとする外人さんたちに、最後尾の位置で「クローズ!トゥデイ・イズ・クローーズ!」と叫び続けるオジサマを心の底から応援していたが、何食わぬ顔で列に加わってしまう外人さんたちのアイアンハートの方がそれを上回ってしまう。こういった、外国人の厚顔で不躾なところは決して見習ってはいけない。

というわけで、長く落とせるラインを一本だけ滑ってこの日のDBDは終了。
見た目は柔らかそうなのですが、案の定こちらも踏むとムチッとくるクリーミースノー。
もう少し木と木の間が開けていれば、重い雪でも気にせずにまっすぐなラインで落とせるのですが、クリーミースノーに足を取られて操作を誤れば、簡単に木に激突してしまうのである程度セイフティに行かざるを得ない。
ちなみに、どのゲートにもスタッフが常駐していて、きちんと滑走許可証の提示を求めてくるところは、こうした非圧雪コースを開放するサービスのあり方として、とても素晴らしいと思った。許可証を持たない外人さんたちには毅然とした態度で「NO」と言う姿がとても頼もしい。


そのあとクルマに戻ってランチ休憩。これが私の常宿のいつものラウンジの風景。
リアシートが特等席。狭いながらも楽しい我が家だ。

ランチの後はお約束のスキー。
画像は撮ったのですがピンボケのためありませんが、この日も『MAXI GT』であります。

この日は午前中から白樺ゲレンデのコース半分を規制して、バッジテストなのか検定が行われていたのですが、それが終わるタイミングを見計らってのスキー投入。
規制されていたコースであれば、コース幅をいっぱいに使ったディープでワイドなカービングをブチかませる、まさにMAXI冥利につきる斜面。まあまあスピードが出るため、私の使う170cmの場合、気を抜くとかなり危ない。久しぶりにヒリつくスキーを楽しんだ。次は『MASTIFF』でここを滑ってみたいなー。

白樺ゲレンデの規制エリアを4本回してから、これまで一度も滑ったことがなかった隣のチャンピオンゲレンデへ。
ご覧の通りにこちらもコース幅と斜度が、あつらえたようにスキー向き。って、「スキー場」なんだからスキーにあつらえてあるのは当たり前の話。このコースも滑り応え満点。スキー視点で探検すると、スノーボードでは見つけられなかった別の宝物がザクザク出てくる。特に老舗の白馬のスキー場たちは宝の山だ。
また栂池を見直すこととなった。ここホントにいいスキー場だわ。

15時まで滑ったら、栂池から北へクルマで25分程度走った所にある『道の駅 小谷』へ。
まずは道の駅に併設されている『深山の湯』でほっこりとさせていただいた。とても良いお湯加減でございました。

白馬に南側からアクセスする関東組にとって、逆方向になるためほとんど縁のないこの道の駅 小谷まで、なぜわざわざやって来たのかというと、ここでしか手に入らない「標高1,500メートルの栂池高原の雪の中に埋雪して熟成させた」という純米酒『栂の森』を手に入れたかったから。
前回白馬に来た時に入った居酒屋でこれを呑んだら、まあまあハマってしまった。
ちなみに、居酒屋で飲んだのは『栂の森 プレミアム』とかいう特別版だったようなのですが、二合の値段がこの一本の値段と同じだった・・・

白馬に戻ってもほとんどの食事処が混雑しているだろうから、いっそここで夕食を摂って、そのまま道の駅 小谷で泊まってしまうことにした。
昔ながらの羽釜を使い直火で炊き上げたご飯をいただける『鬼の厨』で『温玉カツ丼』をいただく。こちらは温泉卵をかけていただく少々変り種のカツ丼。ジューシーな肉にサクッと揚がった食感のカツだけでも美味しくいただけるところに、温玉をかけることで卵とじに味変させながらいただく逸品。ウマシ。
で、ホテル(クルマ)に戻って早速『栂の森』をいただくことにする。手に入れたのはプレミアムバージョンではなかったからか、はたまた私のホテルの殺風景なラウンジのせいか、残念ながら居酒屋で味わった時ほどの感動はなかった。それでも美味しいのは確かなので、気にせずグイっといかせていただく。
なんなら飲み干しちゃおうとか思っていたのですが、前夜が5時間睡眠だったせいか、三号ほど飲ったら睡眠薬でも盛られたようにバッタリと眠落ちした。この時まだ20時前。
明日は早割を買ってある岩岳に行く。この夜からの降雪の予報はないので、明日も思いっきりピステンをシバキ倒すことにしよう。それと、今シーズンから登場した岩岳の新しいゴンドラに乗るのも楽しみだ。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (2件)
先週ニセコへ行ってきましたが、外国人の多さに驚きました。アンヌプリのゴンドラは朝から夕方までずっと列が無くならず、20分ぐらい待ち状態でした。
1日滑って日本人は僕と友人の2人のみ…..だったのではと思えるくらい日本語は聞いていない(笑)
何人もいましたが、中華系の方がバートンAKウェアにロケットフィッシュを持って、しかもゴーグルはヴィトンでした。セレブツアーなのか?
次の日はキロロへ逃げました、大分マシでしたよ。
ニセコが一番外国ですね。特にHANAZONOあたりは完全アウェー。