ちょっと前に話題になった、Netflixの『地面師たち』を観ました。
「地面師」なる詐欺集団がいることなど全く知らなかったので、まずはそうした詐欺師がいることに驚かされる。
本作では大規模な不動産詐欺を題材にしておりますが、もっと小さい、私が住む場所にあるような土地の規模でも、そうした地面師詐欺は存在しているのだろう。
古くは『スティング』をはじめとして、『オーシャンズ11』や『ミニミニ大作戦』など、詐欺師を主役にしたエンターテインメント作品は数多いが、『地面師たち』が異質なのは、この国の隠された暗部にきっちりとフォーカスしているところ。

もちろんエンタメ作品として、かなり誇張されている荒唐無稽な部分が多いことは確かですが、金に執着する人間の性(サガ)については吐き気をもよおすほどよく理解できるように演出が施されている。

それは地面師に限らず、騙される方も金儲けのチャンスを前に、多少のリスクは度外視して飛びついてしまう。
「人の不幸は蜜の味」とはよく言いますが、そうした滑稽でいながらも、観ているこちらの胃が軋むような痛みまで、騙される登場人物たちは届けてくれる。

人が死に際に見せる絶望する表情を見ることこそ、究極のハンティングだと考え、騙される人間が地面師詐欺だと気づいた時の表情を味わうために詐欺を繰り返し、被害額が大きければ大きいほど、深い絶望の表情を見せると考える、豊川悦司演じるハリソン山中の狂気、否、変態度は、とてつもないほど飛び抜けている。
つまり、ハリソン山中だけは金ではなく、自らの愉悦のために地面師詐欺を繰り返している。
そんな山中が長く捕まらずにいるのは、大胆な犯行を繰り返しながらも、その裏では臆病なほど慎重に、自身につながる人間は、たとえ長く仕事を共にした仲間であっても躊躇なく消して来たから。
一見、物腰の柔らかい紳士のような振る舞いを見せながら、ある一線を越える者がいれば一瞬にして冷徹な悪魔の様相を魅せる、豊川悦司の演技に注目して欲しい。
(オススメ度:70)


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