
あなたにとって最適なヘルメットとは?
と、ライダーに訊けば、それこそ十人十色の答えが聞けると思うが、私にとって最適なヘルメットとは、オートバイの操作に集中できるヘルメット。
もう少し具体的に言うと、① 静音性、② 快適(換気)性、③ 安全性という3つを備えたヘルメットが望ましい。
音が静かで、換気性能に優れて快適で、安全性能に長けた、カッコいいヘルメット。
それがわたしにとって最高のヘルメットということになる。
ただ、その「最高のヘルメット」というのがなかなか見つからない。
上の画像は現在のSHOEIのラインナップをざっと並べてみたもの。
これだけのラインナップを誇るヘルメットメーカーは世界中どこを探してもSHOEIだけだろう。
それでもまだ、すべてのライダーの好みをカバーしきれていないのだと思う。
上記は私が勝手に行ったカテゴライズですが、特に「Touring」に属するものが先に述べた3つの性能を持っているものだと思われる。ただ、R18に乗る私はそこには食指が動かされない。
やはり、どうしても一番下の「Alternative」と呼ばせていただいたカテゴリーの方に惹かれてしまう。
つまり、快適性能を多少犠牲にしてでも、私がカッコいいと感じる方に惹かれてしまう。
私史上最高にカッコイイ『SIMPSON DIAMOND BACK』は、静音性に優れたとても被り心地の良いヘルメットなのですが、ベンチレーションを持たないため真夏に被ろうとは思えない。
カッコ良さと涼しさで言えば、オーセンティックなジェット型(J-ForceやJ-Cruiseといったスポーツジェットではなくオーセンティック系)に限るのですが、風が多く肌に接するぶん、もちろん静音性には劣る。
そうした視点で改めて上のラインナップを眺めると『WYVERN ∅』あたりを選ぶのが妥当なのですが、残念ながら実物を何度確かめてもピンとこない。
そんな私の嗜好とは真反対に位置するはずのX-fifteenのことが気になるようになったのは、『SHOEI Personal Fitting System』を体験したことに端を発する。
S、M、Lといった定型サイズで様々なライダーの頭をカバーするのが当たり前のところ、それらをベースの素材にして、それこそ10人いたら10通りの頭の形に合わせ込むという「なんで今までなかったの?」と思えるような素晴らしいサービスを経験したことで、SHOEIヘルメットの設計思想に強いシンパシーを抱くようになったから。
「そんなSHOEIのフラッグシップモデルが悪いはずがない」
そう思ってしまったら“あばたもえくぼ”。
「R18というクルーザーにレーシングスペックのヘルメットは似合わないだろう」と、完全に圏外に追いやっていたX-fifteenでしたが、ボバースタイルにカスタムした我がR18を、ドラッグレーサーだと思えれば、レーシングモデルのヘルメットでも似合うんじゃないか?
という、とても都合の良い理由を頭にいっぱい詰め込んで、SHOEIの技術の粋を集めたヘルメットを自らの頭で体感してみたくなった。
X-fifteenの限定バージョンである『X-fifteen Carbon』に関しては、発売開始が発表になった時、SHOEI Helmet Parkに行った時と、こちらでも二度に渡って紹介してきましたが、それだけX-fifteenのカーボンファイバー製シェルのヘルメットには惹かれてしまっている。
とはいえ、私の中ではすっかり機は熟してしまっている。高額な価格の話はさておいても、手に入るのは早くても半年後になるX-fifteen Carbonを待ってはいられない。善は急げ。
と、いつものフリマサイトを1ヶ月ほど探索した頃に、新品未使用の『SHOEI X-fifteen』を納得価格で見つけることができた。

手元に届くなり額のSHOEIのロゴステッカーを変更しておりますが、中身はノーマルであります。
これも例によって、虎視眈々と格安な出物の登場を待ち続けた結果の産物。
グロスブラックとマットブラックを両睨みで探していたところ、このマットブラックのX-fifteenが先に目に止まった。なので黒であること以外マットであることに特に強いこだわりはない。
早速、試してみれば、案の定これが素晴らしいヘルメットであることは、走り出して5分で理解できた。
まず最初に感じるのはその軽さ。
物理的な重量だけでなく、重心配置が適切で、きちんと頭の可動範囲の中心に重心が配置されることで、その外側にある重量物の存在がほとんど感じられない。
それと、本来コンマ何秒を争うための空力特性の良さによって、ヘルメットの周りを流れる空気が整流されており、走行中に前方から感じる風圧も市街地走行レベルではほとんど感じない。
「まるでヘルメットを被っていないみたい」と言うと言い過ぎですが、他のヘルメットのあとにX-fifteenを被ったら、私の気持ちが解ってもらえると思います。
そして、驚くほど静か。

SHOEIの上級機種には、スプリングでシールドをシール部に押し付けて強力に密閉するシールドシステムが採用されている。シールド周りの風切り音は耳にも近いことから、ヘルメットの造形を含めて影響が大きい。
もちろんシールドとの間に隙間があると、そこを空気が抜ける最にノイズになってしまう。隙間風の巻き起こすノイズをここでシャットアウトしてくれている。

シールド後端にある6つのツブツブは『ボーテックスジェネレーター』と呼ばれるシールドサイドの風を後方へ流す整流効果を高め、シールドサイドのノイズの発生を抑えてくれる装備。微に入り細に入り、とにかく芸が細かい。

シールドの上端部も、板状のものを断ち落としたような鋭角な断面形状ではなく、ご覧のようにヘルメットに沿う方向に滑らかにされている。とても細かい部分だけに、ヘルメット好きとしては見ていてとてもシビレる部分。
空気抵抗の軽減は、騒音対策としてだけでなく、言ったように頭が振られずに、ライダーの意図した位置に固定し続けることにもつながっている。

もちろんヘルメットじたいの造形にも空気抵抗を極限まで削るアイデアが散りばめられており、その象徴とも言える部分がリアスタビライザー。左右に設けられたシェルとのトンネルから後方へ風を流すことで空気の流れの向きを制御し、ヘルメットの安定性を高めるのだという。
そして、額のベンチレーション口から、リアスタビライザーまでをつなぐ頭頂部に設けられた特徴的な左右2つの峰は、他のメーカーのレーシグヘルメットには見られないX-fifteen独自のもの。
これもデザイン的な要求からでなく、空気の流れを徹底的に解析した結果生まれた造形なのだという。
そうした小さなアイデアの積み重ねによって、風がヘルメットの表面をスムースに流れていっていることを感じとることができるほど。40km/h適度までならヘルメットの中に硬質な風切り音はほとんど入ってこない。
シールド周りから侵入してくる風切り音も多いのですが、一番は首元、特に耳のすぐ下あたりを流れる風が発生させる音が大きいということは、『SIMPSON DIAMOND BACK』を手に入れた時に痛感した部分。
DIAMOND BACKのように首元まで覆い隠すような形状をしていないX-fifteenですが、顎の部分から後端にかけて下側を絞り込む形状にすることでヘルメット下側の風の流れをコントロールしながら、それでも発生してしまう風切り音を、ヘルメットパッドと首から頬部分にかけての密閉性を高めることで音の侵入を防いでいるように思う。
速度を上げると比例して耳に届く外音は増えますが、同じSHOEIの『Glamster』と比較しても体感で40%程度、『EX-ZERO』と比べれば70%近い静音性が達成されていると感じる。
ベンチレーション性能もとても高い。
新陳代謝がバグっている私の場合、異様に頭に汗をかくので、実はX-fifteenのベンチレーション性能にこそ、大きな期待を寄せていた。
顔や頭との密着性が特に高いX-fifteenにとって、換気性能は生命線とも言える部分。
先日開催された鈴鹿8時間耐久レースを観るまでもなく、真夏のヘルメット内の換気性能の重要度は誰にとっても最上位にランクされることだと思う。

こちらはSHOEI Gallery TokyoにあったX-fifteenの断面構造モデル。
ヘルメット内部のエアルートは従来モデルに比べ1.5倍以上溝を深くされ、リアスタビライザーのトンネル部分にアウトレットホールを装備することで、より高い換気性能を実現しているとのこと。
こうした血管のような内部に配置されたトンネルの中を風が抜けるとは、にわかには信じ難いが、ひとまず7月までの気候でのライディングでは、フルフェイスらしくない快適さを感じることができている。
8月以降の酷暑で試してまた報告しようと思うが、Glamsterに対して倍近い快適性を持っていることは、この際疑いようのないところ。
肝心のR18との相性に関してはこんな感じ。

ボバースタイルにカスタマイズしている私のR18であれば、まあ許容範囲かな〜〜と、少々甘めかもしれないが及第点に感じている。まあ自分からは見えないからいいか。
それにしてもX-fifteenカッコエエ。それもこれもX-fifteenが背景にもつレーシンググランドで培われた説得力によるもの。
デザインのためのデザインでないにも関わらず、ここまで美しさを成立させているところがスゴイと思う。
こうして見ると、意外と頭が小さく見えるのですが、これも二輪用品店などで他社のレーシングスペックと並べて見比べても感じるところ。前面投影面積をはじめとして、X-fifteenはずば抜けて小さく設計されているように思う。
やっぱり食べず嫌いはよくないね。


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