Amazon プライム ドラマシリーズ『キャリー』

スティーブン・キング原作、奇才ブライアン・デ・パルマ監督作品『キャリー』が、初めて劇場公開されたのは、今から50年前の1976年。
当時はホラー映画としては異例のヒットを飛ばしていた記憶があり、私も劇場で鑑賞しましたので、その印象は今でも痛烈に脳裏に焼き付いているのですが、私世代の方以外はほとんどご存知ないだろうと思う。

2013年にクロエ・グレース・モレッツ主演でリメイクされましたので、そちらをご記憶の方がいらっしゃるかもしれませんが、あまりヒットしなかったように思うので、覚えていても薄めかもしれない。
なので、1976年版のオリジナル『キャリー』がヒットしたのは、時代に合っていたからなのか、はたまたブライン・デ・パルマの力によるものなのか。
その答えを出すべく、Amazon MGMスタジオは『キャリー』を復活させることを決めた。

いじめられっ子の少女が、プロムの女王に祭り上げられ、そのステージ上で大量の豚の血を浴びせられる辱めを受ける。
すると、その少女の堰き止められていたとてつもなく強い念動力が発動されてしまう。
その結果、会場中の人間たちを逆に血祭りにあげてしまう。というプロットはもちろんそのままながら、より現代という時代性に当てられたアップデートが施されていた。

まず「超能力」というものは、今ではもう相当に手垢のついた設定ですので、観る方もそうした性質の人間が登場するSFには見慣れてしまっている。
もちろん私のようにオリジナル版を観ている者にすれば、結末を知っているわけなので、オリジナルを知る者の想像を超えるように、キャリーの発揮する力はより強大なものとして描かれている。

そして、今回のリメイクが2時間の映画ではなく、ドラマシリーズとされているのは、よりキャリーという少女のアウトラインを浮き上がらせるためだ。

物語の舞台が、スマートフォンというこれ以上ないいじめの道具が存在する現代社会に置き換えられたことで、よりキャリーの心の痛みが伝わってくる演出となっており、手にした力を抑えようとする反面、ジワジワと追い詰められていってしまう精神状態を綿密に描いていっている。
ブライアン・デ・パルマ版では、キャリーは確かに可哀想な存在ではありましたが、観る者にもどこか危険な匂いのする“異物”として描かれていた。
今作では最初から観る者がキャリーの方に感情移入できるように作られている。
そのためにキャリーのキャスティングに関しても、かなり入念に行われたであろうことがよく分かる。

今作で主役に抜擢されたサマー・H・ハウエルは、あどけなさの中に、神秘的でいていつ爆発してもおかしくないキャリー・ホワイトという役柄に、また新たな魅力と付加価値を加えることに成功したように思う。
何より、母親の考えで、家の中だけで生活を続けていたせいで、スマートフォンはおろか、流行りなどの情報から隔絶されて育ったキャリーという少女の脆さと、初めて見る外の世界へ惹かれていく好奇心の強さをもった少女のあどけない姿を併せ持っている俳優は「この人しかいない」と観る者に思わせるような存在感を放っている。

だからこそ、裕福な家でわがまま放題に育った、スクールカーストの一軍トップに君臨する女王様に、真っ先に目をつけられてしまうことになる。
そうした流れがとてもよく、そして痛々しく伝わってくる演出にも注目です。

そして、今作ではオリジナルにない超能力者の存在を隠そうとする謎の集団も登場し、シリーズ展開の予感もさせつつ幕を閉じた。
続編ができるとして、そこにスティーブン・キングが関わっていてくれるととても嬉しいのだが・・・
果たしてどうなるのか、楽しみに待つことにしよう。

(オススメ度:70)

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