『ブリヂストン ブリザック VRX2』は、2021-22シーズンから3シーズン使ってきたのですが、2020年製造ぶんの中古タイヤだったので使用歴は実質4シーズン。
懐事情以前にセコい私はもう1シーズン保って欲しいとタイヤの入れ替え作業をするその瞬間まで本気で願っていた。のですが、交換をしようとトランクルームから引っ張り出し、実際に溝の減り具合を目の当たりにした瞬間に、そんな淡い期待は見事に砕け散った。
私のアテンザワゴンは重量のあるFFなので、前後左右で片減りが目立つのですが、減りが少ない後輪をキープして、前輪2本だけ買い直すことも考えたのですが、それはそれで無駄に心配事を残すだけだと思い直し、4輪とも新品に買い替えることにした。これまた手痛い出費だ。
そうと決まれば善は急げ。
10分後には『YOKOHAMA iceGUARD 6』をポチッといっていた。
ice GUARD 6にした理由は、国内メーカーのスタッドレスの中では一番安かったから。私が買ったオンラインショップでは新品の4輪で9万円。
ブリザックVRX3にしたい気持ちはやまやまだったのですが、225/45-19サイズだと何をどう探しても新品は15万円以下にならないので選択肢から除外された。
ちなみに、iceGUARD 6の上には7がいるのですが、違いはやはり氷上性能にあるようで、まさしくブリザックVRX2と3の関係と相似であると思われる。VRX2で特に問題もなかったのでiG60の方で充分だろうという判断。
購入したからにはシーズンスタートから新品スタッドレスを履いて雪山に向かいたかったのですが、待てど暮らせど届かない。スタッドレスタイヤを繁忙期に慌てて買ってはいけないことを痛感させられた。
白馬の翌週も雪山に行く気マンマンだったので、白馬で滑っている間もショップからの発送連絡のメールが届くのを待ちわびたのですが、結局届いたのはその5日後。次回出発の2日前。
いつも持ち込みタイヤ交換をお願いしているショップは予約でいっぱい。家の近所からシラミ潰しに探して見つけたガソリンスタンドでは18インチまでしか交換できないと言われてしまった。さて困った。
仕方がないので捜索範囲を都内まで広げてやっと持ち込み交換に対応してくれるガソリンスタンドを見つけることができた。もう一回古いスタッドレスのままで行くことも覚悟していたので、これでガクッと肩の荷が降りた気分。ホント助かった。

もちろん、ガソリンスタンドはタイヤ交換で儲けているわけではない。
頼んでもいないエンジンルームのチェックを済ませ、バッテリーを含めて問題がないと見るや、カーコーティングを勧められた。私はすでに施工済みなので丁重にお断りしたのだが、今度は下回りチェックをして「ほら、下回りが錆びてるでしょ?」と余計なお世話を焼いてくる。
要は「この機会に下回りの防錆処理をしませんか?」って話だ。
車検の時にかかりつけの整備工場にお願いしようとっていたので、いつもならこれもお断りするところなのですが、急なタイヤ交換に対応してくれたことで、すっかり気持ちが優しくなってしまっていたことと、以前乗っていたクルマのマフラーが錆びて落ちてしまった苦い経験がトラウマになっている私は、そのリコメンドを素直に受け入れることにした。
重ねて痛い出費ではありますが、これも転ばぬ先の杖、中古車ライフの必要経費だ。いたし方なし。


というわけで早速使ってみましたが、正直驚いた。
積雪路の下り坂でのコーナーへのアプローチも、コーナリング中も、サイプが雪面を掴んでいる感触がありありと伝わってきて安心感が半端ない。もちろん過信は禁物なのでかなりのマージンを持って走らせているのですが、到着予想時間は変わらないどころか短くなっている。一週間前のクルマの挙動と較べれば尚のこと、積雪路でのペースが上がっていることは明らか。
降り続いた雪に埋まってしまったところからの脱出も力強く、比較的ふかふかの新雪でもしっかりグリップしてくれている。
中途半端に雪が溶けてゴロゴロとした雪の塊とぐずぐずになった雪が混ざった登り坂では、雪の塊がベアリングのようになってグリップ感がかなり下がり、止まったら最後スタックしそうになりはしたが、それはタイヤのせいというよりも二輪駆動の限界だ。
そうしたFFの挙動を理解した運転は前提となるので、全能的な解決策では決してないが、これまでの状況と比べれば雲泥の差と言っても過言ではない。
ただし、積雪のない乾いた路面ではサイプの高さが災いしてか、ステアリングの切り始めやブレーキの効き始めの部分でわずかにダルな反応を見せる。もちろん至って普通の接地感と安定感は確保されているし、何より夏用のスポーツタイヤと比べること自体に無理がある。というレベルの話。むしろ雪道での印象が良すぎて高速道路などでクイックに操作をしてしまいそうで怖い。先日雨のウェット路面も走らせましたがウェットグリップもまずまずの印象。

それまで乗っていた軽量なアウディA3が駆動輪に荷重が架かりづらかったことを思い出すまでもなく、アテンザワゴンは重量級であるぶん、それが逆にタイヤグリップに効いていることは明らかだ。
それをして四輪駆動はいらないとは口が裂けても言えないが、私の経験則で言えば、4WDでないとならない場面というのは一年に一度あるかないかだ。そのために少なくない4WD車を所有するためのコスト増を飲み込めるかどうか。今回のタイヤ交換で更に、私の「FFでいいや」なキブンが加速したことはいうまでもない。
ただ、新品スタッドレスの良さを知ってしまった私の交換サイクルが上がってしまうことで、出費が増えてしまうことは痛し痒しではありますが。
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