NISEKO DOWNCHILL 4

久しぶりのリリースとなった『NISEKO DOWNCHILL 4』を観ました。

らしさを継続しつつも、今回のダウンチルは極上のパウダースノーが過激に増量されていて、いつものダウンチルな面々の滑りのカッコ良さ以上に、彼らのホームグラウンドの素晴らしさ、フィールドの豊かさの方が強く印象に残った。
ここに描かれるフッテージは、撮影された全てのリールのほんの一部分でしかなく、中でも指折りの晴天パウダーの“THE DAY”ばかりが選ばれているので、初めてダウンチルを観た人、もしくはあまりニセコに行ったことのない人には、これが当たり前のことのように見えてしまうだろうが、いかにフィールドや天候に精通している目ざといダウンチラーの面々であっても、これだけの雪と太陽光を同時に得るのはそうそうできることではないと思う。
でも、そんな奇跡のようなフッテージをさらっと見せられるのは、ここがロケーションやラインを知り尽くした彼らの「庭」であるからに他ならない。

ニセコダウンチルの一番の魅力はそのローカル性にあると思う。

ニセコ以外にも、全国からライダーが集まってくる場所は多々あるが、これだけの乗り手が、これだけユルく繋がり合いながら、揺るぎない共通の価値観によって貫かれている場所というのもなかなかないように思う。
それこそがニセコという場所の特異性だし、一番の魅力だと思う。
もちろん、今や冬のインバウンドの核心地と言ってもいいニセコなので、海外のフィルマーたちの視点で描かれることも多い。
ただ、ダウンチラーたちのユル目で濃い目のローカリズムが紡ぐラインは、海外勢とも、他のスノーエリアのローカルたちとも違っている。なぜならそこは、目を三角にして挑む命懸けのフィールドではなく、彼らのいつもの遊び場だからだ。
「誰かに魅せる」というよりも、誰よりも仲間に一番に魅せたいと願う挨拶のような、一本のラインに魂を込める彼らの「日常」を、是非ご堪能いただきたいと思う。

近頃はこうした映像集がDVDやBlu-rayなどでフィジカルリリースされない傾向にある。
シーズンでなくても365日、SNSからはスノーボーディングシーンが届いてくる。
もちろんそうした映像に触発されることも少なくないのですが、そこには食傷気味になっている自分もいて、日常的にそうした映像に触れることの功罪を感じてしまうことも多い。
DVDレコーダーのトレーにDVDを載せて、いつものリビングで49分間、大好きなスノーボードに没頭するという体験の素晴らしさは、スマホの画面で忙しなく観る映像体験と違い格別に楽しい。
そうしたアナログでありながら、実際に手にとって伝えられるフィジカルなコミュニケーションを選択しつづけるところも、実際にさまざまな人々と滑ることを大切にするニセコダウンチルらしさだと感じる。

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