昨シーズンからEarthHopperに加わり、半世紀ぶりに訪れた池の平。
赤倉観光、杉ノ原という2大巨頭に挟まれる池の平には、すっかり足が遠のいてしまっておりましたが、久しぶりに来てみたら、適度な斜度とコース幅に適度なドッグレッグ具合が相まったオールドスクールなしつらえがむしろツボ。
放っておくと赤倉観光と杉ノ原を交互に行き来するだけになってしまうのですが、そこに味変と言っていい新たな一手が加わってくれた。今では池の平はすっかり妙高での切り札的な存在にまで格上げされてしまった。

夜間の降雪はなかったのですが、朝方からまた降り出した。
積もる感じの降り方ではないのですが心地よい足応えを維持するには充分の降雪だ。ありがたい。
ここは全体的に斜度がないのでパウダースノーを狙うよりも、圧雪バーンでのカービングを狙うべきスキー場だと思っている。つまり前夜の降雪のあるなしに依存しない。加えて、変にスノーボーダーに媚びていないので、オープン前のリフト乗り場にはハンター系ではないリゾート系の面々が集まるピースフルなところも私の好み。

この日の相棒は、今季初出勤となる『Q545』。
先に言ってしまうと、この日のトピックはこのQ545。
『Q57』と二卵性双生児のような位置づけだと私は勝手に思っているのですが、Q545は、Q57と同様のテイストを持たされながら、ウェストを絞りサイドカーブを際立たせることでよりエッジングの反応が明瞭にして、スノーサーフなズレ感とエッジィなレスポンスを高いレベルでバランスされたモデルだと認識している。
ただ、あまりに優秀なためQ545だけ乗ってしまうとその優位性に気づけないように思う。そのため手に入れた順番と同様にQ57から乗った方がその優秀性とともに、目指す方向性が分かりやすいと思っているのですが、その想像が今回ドンピシャにハマってしまった。前日にQ57に深雪で乗っていたことで、この日の池の平の斜面だからこそ見えてくるQ545に与えられたまた別の一面を見出すことができてしまった。
Q57と同じようにターンに入っていくと、Q545はさらに深くエグるようなラインを描こうとするのですが、これまではQ57と似たラインになるようにそれを押さえつけるように走らせていたのですが、行きたいように行かせてやったらQ545の別の一面を垣間見ることとなった。っていうか、こっちが本当の姿か?
引っ掛かりに感じるほどの強い抵抗感を感じさせるトップ部分を活かすために、逆に前のことは放っておいて積極的に後ろの操作に専念すると、Q545はものすごい遠心力を伴ってキレ上がっていく。
これを意識せずにできるようになってくると、ロングターンもショートターンも、同じリズムの中で繰り出すことができるようになる。最初はこれに過剰さを感じてしまっていたのですが、今シーズンはそれを楽しめるようになっていた。目から鱗とはまさにこのこと。



まずはピステンパウダーをキッチリと堪能させていただく。
雪面の足応えはいいものの、その抵抗感は強めで、大きなターンを描こうとすると減速してしまう。
そこで、前は放っておいて後ろ足で回り込むようなターンインの仕方を盛り込んでみたら目から鱗が落ちたというわけだ。面白いな〜Q545。
今にして思えば、GentemstickのMANTARAYやINDYもこうした走らせ方を意図していたのかもしれないが、残念ながら私には、そうした制作者の意図を受信することができなかった。
直接の比較ではなく記憶との照合でしかないのであまりアテにはならないが、その違いはやはりトップの感じ方にあるように思う。
TTを含めて、Gentemstickは抵抗感を排除する傾向を哲学として持っているように感じる。そうした自らに課した縛りの中で、アクセント程度にトップの反応のさせ方を模索しているように思えるが、Q545はそこの演出が露骨だ。
それはもちろんGentemstickと比較しての話であって、エッジの乗り換えに際してはとてもスムースに行えるし、それにはある程度トップ側の反応を無視(ハナから想定)した乗り方が適当だということだと解釈させていただく。
誤解のないように言っておくが、その比較は私の思う“スノーサーフ”という共通概念の上で行なっている。

コース脇には適度な新雪も残されていた。
ただ、斜度がないぶん欲張って引っ張りすぎるとすぐに減速してしまう。
実際止まって軽く埋まったのですが、場所が良かったことに加えて、雪が軽いのでボードを外さずに脱出することができた。毎度同じようにうまくいくとは限らない。森の中にも新雪が残されていたのですが、そのため手が出せない。否、足が出ない。
端パウにワンターン当てに行くヒットアンドアウェイが基本。


2時間後。
だんだんと斜面が熟れてきた。と思ったら、トラックのまま固まりはじめた。
あんなに軽かった新雪ですが、日本海の水分を多く吸った雪は踏み締められると結合を強めて固まり始める。

というわけで、12時からスキーにモードチェンジ。
初登場の『VECTOR GLIDE MAXI GT』。
見せてもらおうか、カービングスキーの性能とやらを。


MAXI GTだけでなく、スキーはこうした硬くガタついた雪面でも切り裂くように突進できる。
まったくもって頼もしい。
んで、肝心のカービングスキーらしさを感じとるという課題ですが、正直半日程度でそれを解釈するのは私には無理でした。分かるような分からんような。
っていうか、乗り方もこれ専用に工夫が要るようだ。すぐにその勘所を掴むには無理があった。
もっと乗り込まんとならんな。


というわけで、MAXI GTとの初デートは挨拶程度となったが、それを置いてもスキーもまた楽しい。
Q545への新たな気づきもあったし、スキーの楽しさもキッチリと味わえているし、今シーズンのスタートはなかなかに内容が濃いものとなっている。
う〜〜〜ん。まだ帰りたくない。もっと滑りたい。
というわけで、家族に無理を言ってもう一泊させてもらうことにした。

とはいえ、のんびりもできないので翌日は午前中だけ滑るのが限度。
妙高周辺だと午前中に留めても距離的に帰りに時間を取られすぎるのでこの日のうちに家に近づいておきたい。
というわけで、下道で帰れば道中にあるパルコール嬬恋に向かうことにした。

途中、ウッカリさんに遭遇。
運転手の方に怪我はなさそうで、ケータイ片手にどこかに連絡をされていたのでスルーする。
ほどなく赤灯を灯しサイレンを鳴らすパトカーとすれ違った。
人のフリ見てなんとやら。雪道の運転はいい気にならないこと。と、気を引き締める良い機会。

『高原の天然温泉 つつじの湯』で温泉と夕飯をいただく。
適度な湯温の天然温泉で、中でも露天風呂の居心地が素晴らしかった。ついつい長湯。食事の方はまあまあって言うか、普通の定食屋レベルでしたが、あたりには何もない場所のため、夕食はコンビニ弁当も覚悟していたのでこうして温かい食事が摂れるだけありがたい。また利用させていただこうと思う。
(つづく)
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