かなりラブが深い題名に反して、内容はきっぱりとコメディ。
それもこれも、松たか子あってのモノダネ。
坂本裕二のオリジナル脚本とのことなので、たぶん松たか子に当て書きされたものなのだろう。
それが悪いということではなく、フジテレビ視聴者を中心に、世の中には例の松たか子のもつ空気感が好きな方が多いということなのだろう。
『大豆田とわ子と三人の元夫』、『幸せな結婚』といったドラマも、松たか子ありきで私も好きだ。
そんな彼女の魅力がふんだんに押し込まれた作品がこの『ファーストキス』。
松たか子演じる硯(すずり)カンナが、「今日ついでに役所に提出してくる」と言って、離婚届を持ったまま電車事故で死んでしまった夫、硯 駈(ずすりかける:松村北斗)との関係を修復するためにタイムリープを繰り返すという内容は、そんな松たか子の魅力を堪能するにはこれ以上ない作品となっている。
のですが、映画全体として見たときにはどうなのかというと、諸々疑問符のつく内容となっている。と、私は思う。
そのすべてはラストシーンにあって、ここまでの愉快な松たか子節を魅せられた末に、この結末を飲み込める人って、そうはいないと私は思う。
これに関しては私が松たか子好きであるからなのかもしれない。
とも思うが、この作品は松たか子を容認できでないと観ていられないと思うので、やっぱりこの結末はいただけないと私は思う。
言ったようにオリジナル脚本なので、結末はいかようにもできたはずなのに、どうしてこの結末を選んだのか?
喜劇のまま終劇することが気恥ずかしかったのか?もしくは、格好良く、意味深に終わらせたい欲望に駆られたのか?
あまりにラブが深い題名を含めて、作り手のエゴが悪い方に出てしまった気がしてならない。

題名と、このビジュアルも勘違いを助長していると思う。
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』という映画がありましたが、こちらもタイムリープと恋愛を組み合わせた作品で、冒頭から多くの伏線が散りばめられた、最後まで謎の多いミステリー風であったので、そちらであればこのファーストキスのビジュアルイメージに合っていると思いますが、ファーストキスの場合、このカッコいいビジュアルと合致しているのは結末だけで、そこまでの話の流れに関しては右の『一度死んでみた』のビジュアルイメージだと思う。
このラブの深いポスターを見て勘違いして観てしまった方も多かったのではなかろうか?
そういうときのガッカリ感はハンパでないので、映画館慣れしていない方ならば、しばらく映画館に足を運べないほどの後遺症を患う危険性も高い。
と、なんやかやと文句を書き並べてしまいましたが、結末がモヤっとするだけで、そこまでは素晴らしく面白い映画です。
(オススメ度:50)※松たか子好きには90


コメント