
男女二人だけが無人島に漂着してしまう作品は数あれど、この『HELP / 復讐島』は、これまでのそうした“無人島もの”とは大きく趣を異にする異色作。

コンサル会社で働くリンダは数字にも強くかなり優秀な人材。
でも、彼女のちょっと古めのファッションセンスを含めて見た目はかなり地味。
働き方だけでなく、ファッションについても意識の高い人材が揃うコンサル会社にあって、そんな地味目のファッションでも気にせず出社してくるリンダは、少々・・・、否、かなり空気の読めない“ウザキャラ”。

そんなリンダの上司ブラッドリーは、コネだけで部署のトップにいるような、見た目だけの分かりやすいゲス野郎。
当然のようにリンダはブラッドリーに目をつけられ、日々ネチネチとパワハラを受けるのですが、社員から訴えられるようなコンプライアンスや、ダイバーシティに関しては抜け目のないブラッドリーに、リンダはいつも言いくるめられてしまう。
そんな対照的な二人が、会社の専用ジェットで海外に出張することになるのですが、そのジェット機が途中で墜落してしまう。
運良く無人島に流れ着き生き延びたリンダとブラッドリー。


しかし、ブラッドリーは墜落時に脚に大きな怪我を負ってしまい身動きが取れない。
対して、ここで趣味のアウトドアが功を奏して、次々に無人島での生活に適応していくリンダ。
絵に描いたような都会育ちのボンボンであるブラッドリーは、食べ物はおろか水さえもリンダに分け与えてもらえないと生きていくことすらできない。
ここで二人の立場は完全に逆転するわけだが、この映画が面白いのは、こうした “遭難モノ” でありがちな男女の立場が逆転するステレオタイプな復讐劇を描いただけで済ませないトコロ。
ここから「ウザキャラ」VS「ゲス野郎」の対決がはじまる。
「さすがはサム・ライミ監督」と思わせるのは、弱者であったはずのリンダの、隠されていた醜い姿が次々に現れてくるところ。
最初は二人の力関係が逆転したことに、観ているこちらも安堵を通り越して痛快さを感じるのですが、途中からブラッドリーの方に同情せざるを得なくなってくる。
とはいえ、クズ野郎は死ぬまでクズだし、島からの脱出よりも、リアルなアウトドアライフを満喫しはじめるリンダの、空気の読めなさ加減にも観ていて愛想が尽きてくる。
無人島という現代社会から完全に隔離されたソリッド・シチュエーションでありながら、いまの社会形態だからこそ生まれてしまうコミュニケーション・モンスターの対立を際立たせて魅せる、サム・ライミ監督のアイデアには脱帽するほかない。
ただ、そうした斬新な視点も途中で息切れしてしまい、中盤からはただの泥試合となってきてしまうのは誠に残念。
勝手な願望ですが、コミカルなオチをつけようとせずに、いっそ完全なホラーに振っちゃった方が、いっそイマ風だったように思えてしまうのは、私がA24作品を観すぎたせいか??
(オススメ度:50)


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