いま一度 IMPOSSIBLEとバックカントリーを滑っておきたいんです@白馬乗鞍岳BC

少雪だった今シーズン、まさかゴールデンウィークまで滑る意欲が私に残っているとは思いもよらなかった。
お分かりのように、それもこれもIMPOSSIBLEを手に入れてしまったことの功罪であります。
返す返すも、私をここまでスノーボードに熱中させてくれる、良い道具に巡り会えたものだと心から思う。

このタイミングでもまだ滑れるスキー場は限られるが、そうしたスキー場もゴールデンウィークまでの営業がほとんど。IMPOSSIBLEとの時間もまさにここがラストチャンス。
奥只見か、かぐらか、はたまたARAIか。と、ひとしきり考えて結局、白馬栂池に決めたのはNSDの25時間券が4時間残っていたから。
大見得切ってボードは買うくせに、リフト券はケチる私の尻を叩くのに、時間券をきっちり使い切ることへのモチベーションは十分な説得力。これも早割券効果と言っていいだろう。

というわけで、連休中の白馬の天気予報との睨めっこを開始した。
連休前半は不安定な天気が続き、後半に安定しそうだったので、栂池の営業最終日となる5〜6日に決めた。
本音を言えば混雑しそうな連休中よりも、連休明けの方が良かったのですが、スキー場の営業が終わってしまっていては元も子もない。
例によって前夜に埼玉を出発し、のんびりと下道を走って23時頃に栂池の駐車場に入ったのですが、白馬が近づくにつれ雨が降り出し、栂池の駐車場では普通に雨。しかも風もまあまあ強めに吹いている。本当に大丈夫なのか??

朝、目を醒ますと、そんな心配をよそに、これ以上ないってほどの雲ひとつない晴天が広がっていた。
近頃の天気予報はホント正確だ。疑ってごめん。

ゴンドラに乗ってスキー場上部に上がると、標高の高い場所では雪だったようで、春の草原にうっすらと雪化粧。
そして、すでに栂池高原スキー場の営業コースは『栂の森ゲレンデ』のみ。
昨シーズンもゴールデンウィークの白馬で締めくくったのですが、スキー場ボトムまでしかりと滑り降りることができた昨年のHAKUBA47と比べるまでもなく、今年は雪が少ない。
一昨年は5/14日にここ栂池でシーズンを滑り終えたのですが、その時は中間駅まで滑り降りることができた。
いくら私が例年よりもやる気が増しているとはいえ、630mのコース一本を繰り返し滑るだけだったら、はるばる白馬まで来たりはしない。

今回の目的はスキー場ではなく、今シーズン2度目となる自然園〜天狗原〜乗鞍岳のバックカントリーにある。
しかも、スプリットボードではなく、手に入れたばかりの『IMPOSSIBLE 26y』で滑ろうというもの。

ソリッドボードであるIMPOSSIBLEで滑るために、前回はここで『UNION ROVER』を使ったので、ボードは背負って登ったのですが、まあまあ苦しい思いをした。
その反省もあり至仏山ではスプリットボードにして、ボードを背負わずに登るラクさ加減を噛み締めた。「もう二度とボードを背負って登らないぞ」と。
それでも今回、ボードを背負ってでも登ろうと思えたのは、まさに新しいIMPOSSIBLEで滑りたいという思いがすべて。新しい玩具は私に力をくれるのであります。
“IMPOSSIBLE Gives Me Wings.”

とはいえ今回はお一人様なので無理は禁物。天候次第では中止しようと思っていたので、ここに来るまで判断はしないでおいたのですが、見たところ乗鞍岳の稜線にも風はなく、天気は一日もつようだったので決行することにした。

前回の至仏山で、松ちゃんがアイゼンで登っているのを見て「そのテがあったか!」と、それを見倣って今回はアイゼンで登ることにした。
そして、一人なのでカップラーメンもバーナーも鍋もなし。水1Lと行動食のスニッカーズだけの身軽なワンデイ装備で済ませて『RAIN OR SHINE BC VEST』にIMPOSSIBLEを括り付けて登ろうと思う。

ロープウェイの乗車券売り場で確認すると、スキー場に滑り込めるロープウェイコースは、すでに雪が途切れているとのこと。前回はスキー場から自然園までの片道キップで済みましたが、今回はロープウェイの往復乗車券を購入。

もうすでに雪は完全に沈降しているので、アイゼンで歩いてもブーツが雪の中に踏み抜けることもない。
クライミングスキンにしても、スノーシューにしても、沈む雪にいちいち足を取られるのを避けるための装備なのだとつくづく思わされる。
この雪でアイゼンであれば、踏み込んだ足がズレたり、体勢がブレたりすることも一切ないため、一歩一歩を繰り出す気持ちに余裕ができて安心感がとても高い。
何より、ほぼ直登で最短距離を進んでいけることも大きなメリット。
やはり、いちいち踏み込んだ足がズレることが、ハイク中の最大のストレス。そこに注意を払い続けることに精神的に疲れてしまうことが不安感を増長してしまう。
この時期アイゼンで登ることはとても理に適っているのであります。

これまでアイゼンは、持って行ってもザックの底の方で待機していて、最後の直登部分や、岩が露出するなど雪付きの悪い場面でのみ使ってきたので、最初から最後までアイゼンで通したのはこれがはじめて。
スノーシューでもクライミングスキンでも、道具を使ってラクをしている気分になっておりましたが、何を使うにせよ、人が一歩で進む距離に大差はない。ということがアイゼンで歩くとよ〜〜く分かる。
ラッセルが必要になるほど沈んでしまう深い新雪や、山の取り付きまで平坦な場所が長く続く場所、そして何より、背負う荷物を減らしたい時にはクライミングスキンで登るのが最強だ。でも、そういった場面以外であれば、時間的にも、体力的にも、踏み出す一歩に違いなどない。
ラクをしようと道具を漁る、私のような輩が陥りやすい暗示にかかっていたのだとシミジミ実感した。

というわけで、なかなかに足取りは軽かったのですが、やはり最初の40分ほどは来たことを後悔するほどに苦しい時間となった。
なにぶん一人なので、いつでも引き返せる。という甘い気持ちが逆に災いしておかしな迷いが生じてしまい、歩くことに集中できない。
誰かと登っていれば、迷惑をかけたくない一心で上を目指せるのだということも痛感することとなった。

ただ、アイゼンでの足取りは軽く、ペース自体は悪くなかったようで、前回よりも30分早い1時間半で天狗原に着くことができた。
名前の通りの野原なので、歩きながら乱れた呼吸を整えることができる。そのあとにはクライマーズハイのような状態が訪れ、なお足が軽く感じられる。
そうと頭で分かっていても「今回はハイになれないかもしれない・・」という不安にかられてしまうのは、登りは筋力や体調以上に経験の積み重ねの方が大切だということの証左だ。
やはり山には恒常的に足を踏み入れ、今の自分の体力や精神力を把握おかないとならんのだなあ。

天狗原を過ぎると残るは乗鞍岳のみとなる。
ひとたび乗鞍岳に取り付いてしまうと、山頂まで休憩できる場所がないため、約1時間に渡り急斜面と向き合いつづける覚悟が必要になる。
なので天狗原で休憩しておいた方が良いのですが、すっかりハイになってしまっている私はそのまま乗鞍岳を登り始めた。

最初は調子良く登っていたものの、いくら歩いても目の前の景色が一向に変わらないことに苛立ってくる。
今回はここで前回のような強風に煽られることもなかったのですが、それでも長いボードを背負いながら振り返ろうとすると、バランスを崩してそのまま滑落するイメージに頭が支配されてしまう。おかげで変わらない景色を見続ける他にないことが余計にもどかしい。
ただ、ご覧のように斜面にはフィルムクラストが多く点在していた。超美味しそうだ・・・という思いだけで苦しさを紛らわせることにする。

そうして、自然園駅から3時間を切る速さで山頂付近のドロップポイントに到着した。
前回よりも1時間ほど速い。やはり春の斜面は歩きやすい。っていうか、前回もアイゼンでいけたんだなあ。きっと。

おひとり様の場合、山頂でゆっくりする必要もない。
15分ほど休んだら11時40分にさっさとドロップすることにした。
目の前には美味そうなフィルムクラストが待ち構える・・・

実に美味っ!生きててよかった〜!!
って、スノーボード冥利に尽きるラン。
やっぱりフィルムクラストの独特な足応えはタマランっ〜〜!
ほんとアッという間にボトムに着いてしまった。
今回IMPOSSIBLEには『Kashiwax C.W.D.』を施工してきたのですが、これがまんまとハマった。
あくまでも個人的な感想ですが、春雪にはC.W.D.が一番合ってる気がする。っていうか一番好きかも。
それとやはり、アイゼンはザックに入れて背負っても軽い。滑りも軽快になる。

気持ちよかったのはここまで。天狗原からロープウェイ乗り場までがこの日の問題。
すでに藪が濃く現れてしまっているため、スキーならまだしもスノーボードだと滑り抜けるのがかなり面倒。
実際この日登っていらっしゃったのは9割がたスキーヤーだった。

登ってきたところを素直に滑って帰ろうと思っていたのですが、登ってきたラインは藪が濃かったので、それを思い出すとつい他の下山ルートを探してしまう。
そうするうちに少々危険な箇所も滑ってしまったので、今回滑ったラインの情報は差し控えさせていただく。
何はさておき、12時15分。自然園に到着した。

楽しかった〜〜〜〜。ここまで来ると苦しかった登りの記憶は消えてなくなっている。
それでも体力が足りていないことはかなり強めに実感できた。
衰えるばかりのこの身体で、これからもバックカントリーを楽しみたいと思うのなら、年に2〜3度なんて頻度でやってたら全く足りそうにない。
とはいえ、スキー場でのコース滑走が楽しすぎて、これ以上バックカントリーに出る頻度を上げるのも億劫だしな〜〜〜とか、ネガティブで自堕落な考えが真っ先に頭をよぎってしまう。ホント、歳はとりたくないもんだ。

バックカントリーエリアから下山したら、さっさと下りのゴンドラに乗って帰れば良いのですが、そのためだけに1時間分の時間券を消費するのはもったいない。
同じ理由で登る前の足慣らしに栂の森ゲレンデを一本滑っておいたのですが、復路のゴンドラに乗る前にも時間券を使ってコースを滑っておくことにする。
ちなみに、ゴンドラの一回乗車券は¥2,380もする。NSDの25時間券は1時間あたり¥1,200なので、十分以上に元は取れているのですが、それでもどこかもったいないと思うセコい気分が上回ってしまう。

というわけで、10分ほど休憩して、疲れた身体に鞭を打ちながらゲレンデを3本滑り、結局14時に下山することにした。

白馬栂池は明日が最終営業日。
「5、6日の天気の良い方で登れたら」とか思い、一泊二日を予定してはおりましたが、初日に白馬乗鞍岳を味わうことができてしまったので、ひとまずの目的は達成している。
時間券があと2時間あるので、それを最終日に使い切ってから帰るのもオツなものではありますが、とはいえ滑れるのは栂の森ゲレンデ一本のみ。さっさと帰って録画しているドジャースの試合を観るのもいいのですが・・・

つい風呂上がりのビールの誘惑に負けてしまった。家に帰ってからでも風呂に入ってビールは飲めるのですが、それは5時間後のことになる。しかも、この日は連休中一番の渋滞が予想されている。
とかなんとか悩むまでもなく『道の駅小谷』にある『深山の湯』に浸かったあとで、一人、道の駅の前を流れる糸魚川を眺めながら『白馬クラフト』の栓を抜いてしまった。
なんなら明日の朝に帰ってもいいし!何はなくとも春の白馬に乾杯!!あ〜〜〜旨んめ〜〜〜〜!

ちなみに、この日の道の駅小谷は連休中ということもあって、次から次へと引っ切りなしにクルマがやって来ては出て行ってを繰り返していた。すっかり平日に行動する世捨て人っぽい暮らしになっている私には、こうした普通の休日の光景についほっこりとしてしまう。

一息ついてからレストランで夕食を済ませ、クルマで日本酒をやりながら、スカパーオンデマンドで『F1マイアミGP』の決勝を観てそのまま寝落ちした。
あ〜〜なんて幸せなゴールデンウィークなんでしょう。

せっかくなので、IMPOSSIBLE 26yをPRIME-Xで滑らせてみた感想もお伝えしておこうと思います。
(つづく)

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