混雑する野沢温泉を平日に狙うも強風に玉砕!でも戸狩で満喫!

正月休みの雪山で、連日狂喜乱舞する仲間たちのSNSの投稿に、私の我慢もいよいよ限界を迎えた5日の夜。
翌日から仕事初めの方も多かったと思うが、だからこそいつも混雑するスキー場もこのタイミングなら空いているだろうと踏んで勇気あるサボりを決行。
世間的な見方をすれば10連休ということになるが「正月くらい」と思いがっつり介護老人と向き合っていたのでただ休んでいたわけではない。私としては普通に訪れた週末の気分。

そこで、久しぶりに野沢温泉に行ってみることにした。
野沢温泉は私もとても好きなスキー場の一つなのですが、少々遠いことに加えて、その人気ゆえにとにかく混雑しているイメージもありなかなか足が向かない。
近頃私のスキー場選びの中心となっているEarth Hopperに加盟していないこともあるし、野沢温泉は巨大な民宿街なので、スキー場の周辺に車中泊できる場所がないという課題もある。

画像は今回前泊した『道の駅 野沢温泉』。2019年に開業した真新しい道の駅。
足が遠のいていた間に出来ていたようだ。野沢への良い足がかりを得た気分。

6時起きで道の駅を出発して意気揚々と野沢温泉のリフト券売り場に行くと、なんと強風のためゴンドラリフトは運休するとか言いやがる。スキー場ボトムでは無風で、何より綺麗な青空が広がっているのでまさに青天の霹靂。
前回のパルコール嬬恋につづいて連続のゴンドラ運休だ。何かに憑かれてるのか???
リフト券売り場が開く前から運休を報せる貼り紙が出されており、それはつまり前夜から運休を決めていたことになる。「誰が考えても一番空くことが想定される日だし、人手不足が理由の計画運休じゃね〜のか?」と、つい負の想像に囚われてしまうが、同じようにがっかりしているわざわざ海外からやって来た外国人スキーヤーを見ていたら、ちょっと気が紛れた。
このまま野沢に残って滑れるコースで我慢するのもテなのですが、ゴンドラだけでなくスキー場上部のリフトも併せて運休になっているので、スキー場トップの「やまびこ」はもちろんのこと、大好きな「上ノ平」「スカイライン」も滑ることができない。いかに好きなスキー場だとはいえ、そんな状態の野沢温泉スキー場に一日券¥7,300の価値などあるはずもない。風が止んでゴンドラが動き出す可能性もあったのですが、短気な私にそれを待つのは無理な相談。別のスキー場に移動することにした。

Earth Hopper加盟の斑尾や、これまでに行ったことのない木島平にも惹かれるのですが、野沢温泉から一番近い『戸狩温泉スキー場』に行くことにした。
ところで、これを書くときになって分かったのですが、木島平って今『スキー場 ロマンスの神様』って名前なんですね・・・おっさんには来てほしくない感があまりにエグい。それと知らずに行かなくて良かった。

この日は降雪の予報もなかったし、斜面も硬い可能性が高かったので、空いたゲレンデを『Speedmaster』でブンブンにカッ飛ばそうと思っていた。
こう言ったら失礼ですが、比較的いつも空いている戸狩だったら、この日は更に空いていて飛ばし放題だろうと思ったというわけだ。

戸狩温泉に来るのもかなり久しぶり。
こんなことでもない限り来ない場所。とか言うのも重ねて戸狩温泉に失礼ではありますが、ここまで来ておいて“あの”野沢温泉を横目に見ながら戸狩の方に来るなんて心の余裕、私にあるはずもない。
なのでこれも良い機会だと思い直してゴンドラが運休になった不運から目を逸らすことにする。

戸狩温泉は野沢温泉とは直線距離で5km程度、上の画像にあるように向き合うような位置関係にある。ただ、標高差は500m近くあり横幅はもちろんのことコースの全長は比較にならないほど、その規模には大きな差がある。

じゃあ戸狩がつまらないかといえばそんなことはない。
確かに野沢温泉に比べればコースは短くバリエーションも少なめだが、斜度もコース幅も適度。
敢えて似ているスキー場を挙げれば『オグナほたか』。
今のところインバウンドとも無関係。私はこうしたローカルっぽさを残すスキー場が結構好きだ。

案の定、スキー場ボトム付近はまあまあガリガリ。
東向きの斜面なので日射の影響で少しは柔らかくなっているかと思ったが甘かった。
ただ、この日の私の相棒はSpeedmasterだ。硬い斜面でこれ以上に頼れるボードもない。

Speedmasterはいつも、立てかけてあるところを眺めているだけで私に「ゾクゾクっ」とした予感めいたものを伝えてくる。
ウチヤマ工場製のボードの放つ魅力というかオーラは私にとって別格だといつも思う。
サーフボードの場合、シェイパーも大事だけれど、グラッシングを担当するグラッサーの腕前も同じくらい大事だ。
機能性だけで量ればむしろ機械巻きの方が均一で正確なモノが仕上がるのだろうが、職人の手で削り出され、職人の手でグラッシングされたボードだけが放つ魅力には遠く及ばない。
大量生産品よりも単価は高くなり、ともすると性能はむしろ劣るかもしれないが、立ち姿だけで私に「海に行きたい」、「滑りに行きたい」と思わせてくれることの“凄み”には計り知れないものがある。
私のクイーバーで言えば『TT168ミズメヒノキ』を筆頭に『TT165 Soft flex SPRAY 20th aniv』、『Speedmaster』、『MAXFORCE』、そして『MAGIC38 Split』、『Slasher Split』(CHOPSTICKを標榜する前のモデルなので私はSplitと呼んでます)の放つ美しさゆえの説得力の高さは“あの頃のウチヤマ”ならではの魔力。
今回はそんなSPEEDMASTERの魅力に素直に従ってみた。

そうしたSpeedmasterのプロダクトとしての魅力を横に置いておいて、これに乗りたいと思う遠因は「ボードに長さが欲しい」と、つい思ってしまうとき。良いボードであればあるほど、長さは操作性に関係しないと思いながらも、ターン出口に向かって粘りながら伸びていく想像をすると長いボードに乗りたくなる。
あくまでも私の場合ですが、それは雪面とのボードコンタクトの時間を長く感じたい時のことを指す。
TTでもコンタクトは長く感じられるのですが、長く感じさせるための発動条件は、雪面の状態にしても乗り手のバイオリズムにしてもとてもシビア。その点Speedmasterは私レベルの乗り手に寛容だ。
もちろんSpeedmasterであっても高速域で気を抜けばエッジはあっさりと抜けていってしまう。
それなりの注意力、集中力が必要となるが、ターン中の減速比が低く、次のターンモーションに移らざるを得ないタイミングまでの間尺が長いためターンの最後まで荷重を引っ張ることができる。
斜面状況に関わらずコントロール性が高く、視界の悪い時などにコース幅を見誤るとに簡単にコースサイドに飛び出してしまうという注意点はあるけれど、ボードコンタクトをターンが終わるギリギリまで感じ続けることができる。

手前の「イモハ」「五本松」に飽きた頃に、上部の「とん平ゲレンデ」に上がってみたら、標高の高いこちらの雪は良く噛む“向き合える”雪質が維持されていて、とても素晴らしかった。どこも雪質は同じだろうとか決めつけずにさっさと上がって来れば良かった。
今回滑ってみて改めて気づいたのですが、この日稼働していたリフトは3本だけ(全部数えても4本だけですが)であったものの、その全てが高速リフトであった。乗車時間が短いことは空いていることと同じくらい価値がある。
ローカルスキー場としてはなかなかしっかりしている。見直した。
さておき、なんでここがEarthHopperに加盟してないのだろう???コロナ禍の時にここの存亡を危惧する声を聞いていたので気になっていたのですが、それ以降はきちんと集客できているってことなのだろうか??まあ余計なお世話ですが。

ランチを挟んで午後の部はスキーにモードチェンジ。
『MAXI GT』に乗るのはこれで2度目。
これを機にもっと仲良くなっておきたいところ。

柔らかいピステンバーンから、硬く締まった薄コブまで滑らせてみて、やっとカービングスキーの滑り方が分かってきた。と言うよりも「思い出してきた」。
私はカービング系のスキーに乗るのはMAXI GTが初めてだったので、「思い出す」というのもおかしな話なのですが、要は基礎や基本に忠実な滑りを心がけた方がうまく操作できた。
ここのところファット系のパウダースキーにばかり乗ってきたので、すっかり基礎が疎かになっておりましたが、昔とった杵柄を手繰り寄せてみれば、これほど乗りやすいスキーもないってほどに楽しめた。
乗りやすさでいえばツインチップのフリースタイル系が一番だと思っていたのですが、こと圧雪斜面においてはこちらが数段上。たまたまではありますが、この日乗ったSpeedmasterにターンの性格がよく似ている。
Vector Glideはどのモデルでも変わらずに基礎的な操作を要求するし、それがVector Glideの面白さの源泉だと私は思っているのですが、そんなVector Glideの中でも、ターンの“濃さ”で言えば『SHIFT』や『MASTIFF』が最大値かと思い込んでいた。
MAXI GTも他でもないVector Glideの一員なのですが、これまで乗ってきたモデルでは味わえない独特なターンの設えを感じられた。実はこいつが保守本流なのかもしれない。実に面白い。

もちろん全てのシチュエーションで楽しめるはずもありませんので、MAXI GTであっても状況を選びますが、関東圏のスキー場で出会うことの多い、水分高めの雪質で一番機能するスキーではなかろうか。

あまりに楽しくて15時過ぎまで3時間近くスキーをやってしまった。
スキーやっててほんと良かったと思える時間でした。あ〜幸せ。

最後に五本松コースの中腹に祀られている『スキー地蔵』に挨拶をしてこの日は上がることにした。

その晩も泊まって翌日も滑る気満々。今一度、野沢温泉を狙うテもあったのですが、できればEarth Hopperを使いたいというセコい考えから湯沢方面で滑ることにした。戸狩から湯沢まで戻って『越後ラーメン 維新』で夕飯。
維新は近頃すっかり人気のラーメン店となり、休日の晩などは整理券が配られるほどの入店待ちの行列ができるため、街道から眺めることしかできないでいたのですが、この日は平日だったのでサクッと店内に入ることができた。それでも店内の待合席で20分待ち。混雑とは無関係にここはいつも席に着いてからラーメンが出来上がるまで更に20分ほど待たされるのですが、車中泊の夜は長いので無問題。何より待った甲斐のある味なので許すことにする。

食べ終わって店の外に出ると雪ではなく、あろうことかなんと雨。
夜は降雪予報が出ていたので、これは完全に予想外の展開。Earth Hopperが使える舞子にしても、中里、神立にしても、標高が高くないので、この時間も同じように雨が降っていることだろう。これでは明日は間違いなくカチコチバーンだ。
かぐらなど標高の高いスキー場に行くことも考えたが、野沢でのゴンドラ運休で受けた心的ショックと、ラーメンで腹一杯になった満足感もあってポッキリと心が折れた。なんだか不完全燃焼ではありますが今日はこのまま帰るとしよう。というのは半分強がりで、不測の仕事の電話やメールが届くのが怖いというのが真相でありましたが。

というわけで、寝正月のストレスを発散すべく勇気あるサボりを決め込んだのに、日帰りになってしまった。
それでも最初から日帰りのつもりで来た時よりも滑り込むことができたのでヨシとしておきましょう。

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