スーパーガール

これまでは、“ちょっとおてんばな優等生”といった定型なキャラクターであることが多かったスーパーガールですが、ここでいっきにキャラ変を果たした。
原作コミックには『WOMAN OF TOMORROW』との副題があり、それを知ると今回のスーパーガールの立ち位置がしっくりとくる。
冒頭から酔っ払いまくるスーパーガールを見るのもなかなかに痛快だ。

DCスタジオの代表であるジェームズ・ガンをして「ミリー・アルコックは、私がしたキャスティングの中で最高ランクに位置する」と言わしめた。
それほどに、今回の規格外と言っていいスーパーガールを強く形づけているのはこのミリー・アルコックの存在感に他ならない。
あくまでも私の独断で言わせてもらえば、ゆうちゃみと有村架純を足して2で割ったような、ギャルっぽさと内に秘めた強さを同時に醸し出すミリー・アルコックの魅力が、この映画のほぼ全てと言っていい。

スーパーマン「カル=エル」、その従兄妹であるスーパーガール「カーラ・ゾー=エル」の出身地であるクリプトン星は“赤い太陽”の恒星。
地球の太陽は“黄色の太陽”で、クリプトン星人は黄色い太陽下でのみ、超人的な力を発揮できるのですが、赤い太陽下では、ほぼ普通の人間と同等の力しか持たない。
そのため、血も流すし、アルコールにも酔ってしまう。
ということは基本情報としておさえておきたい。
つまり、それを知った上でカーラは、赤い太陽の光が降り注ぐ惑星にいつづけることを選んでいる。
カーラは訳あって超人的な自分、“他者に対して責任のある自分”よりも、自堕落でも普通の自分でいることを選んだワケだが、それはつまり、シンプルにティーンエイジャーの“自分探し”に見えるところが面白い。

そうしたカーラの“自分探し”の背景には、滅亡した自身の星と、惑星全体に蔓延する病魔によって失った母親と、同じ病魔に侵されながら自分を滅びゆくクリプトン星から脱出させた父親との思い出を、消化しきれないでいるから。
そうしたカーラ・ゾー=エルが、本当の意味でスーパーガールになっていく前日譚の意味合いも、今作は担っている。

そして、言ったように「太陽の色」が物語の鍵を握っており、赤、黄、緑色の太陽を持つ惑星が登場する。
黄色の太陽を持つ惑星では無双の力を発揮するスーパーガールでも、その他の色の太陽下ではめっぽう弱くなってしまう。

他人に関わることを避けて生きてきたカーラが、他人のために自身の力を行使することを決心するまでの冒険と、それを阻む難敵と太陽の色。そして思いがけなくチームアップする最強の仲間の登場など、脚本は練りに練られている。
のですが・・・・・

なんかこう、観る者に滾るようなものが込み上げてこない。

それは、やはりスーパーマン作品のもつ運命のようなマイナスポイントで、結果がミエミエであるところにある。
勝つことが決定している試合を見せられるようで、どうしてもベタな勧善懲悪に落ち着いてしまう。
それを避けるために、あの手この手で紆余曲折を用意しているのですが、どれもこれといって観る者に訴えかけてくるものがないので、シンプルな勧善懲悪よりもタチの悪いストーリー展開になってしまっている。

というわけで、ミリー・アルコック演じるスーパーガールが、毎朝二日酔いに苦しんでいる物語の前半までが今作の観どころといっていい。それ以降はおまけのような構成になってしまっているのはかなり残念。

北米でも興行成績は振るわないようで、2作目にして早くもジェームズ・ガン体制に黄色信号が点ってしまっているようだ。

というわけで、『THE FLASH』に登場した、サッシャ・カジェが演じた、ちょっと陰キャなショートボブのスーパーガールの単独作を観たかった気持ちが再燃している。

こちらのスーパーガールは、ザック・スナイダーの構築した世界線の登場人物。
皆さんもご存知かと思いますが、DCの版権を持つ親会社であるワーナー・ブラザース・ディスカバリーは、同業のパラマウント・スカイダンスに、企業価値約1100億ドル、約17兆円で買収された。
それまでワーナーはNetflixと買収交渉を進めており、もしそちらが実現していれば、Netflixとの繋がりの強いザック・スナイダー版のジャスティスリーグが復活し、今一度、サッシャ版のスーパーガールを観られたかもしれない。
結局Netflixは今年の2月に買収交渉から撤退してしまい、儚くもその夢は絶たれてしまいました。

あ〜あ。残念。

(オススメ度:60)

ところで、今回もSCREEN-Xで鑑賞した。
前回も言ったように最初の30分で没入感にも慣れてしまい、普通のスクリーンを観ているような状態になってしまう。

そうと知りながらまたSCREEN-Xにしたのは、この「プレミアシート」が素晴らしいから。
足を伸ばせることに加えて、左右も広くとってあり、前後左右の観客に対する煩わしさがほとんどなくなる。
鑑賞料金に加えて¥1,000徴収されるので、SCREEN-Xの場合¥3,900もするのですが、それでもすっかりハマってしまった。

そして、次に来るアメコミ・スーパー・ヒーロー作品は、7月31日日米同時公開となる『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』。
こちらはSCREEN-X専用カメラで撮影された、世界初の『Shot For SCREEN X』作品となる。
企画段階から横に広いSCREEN-Xでの上映を念頭に置いて撮影が進められたそうで、撮影後にSCREEN-Xに合わせ込まれて編集されたこれまでの作品とは一線を画すと言う。
そこまで言われたらSCREEN-Xで鑑賞しないワケにはいかないな。

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