スキーの予約会のはずのカスタムフェア2026でK2 TT RSが試着できてしまった話

今年も『石井スポーツ カスタムフェア』に行ってきた
昨年に引き続きダブルBOAのスキーブーツを物色したい。
昨シーズンはダブルBOA搭載のブーツに「テックビンディング」に対応したモデルはなく、今年こそ出てきてくれるだろう。という期待を抱き、サーフィンあとの茨城県の大洗から、遠路はるばる池袋までやって来た。

途中ランチブレイクを挟みながら、下道をのんびり走って2時頃に池袋に到着した。
13時から始まっているものとばかり思っていたら、実際は3時開場だったため、45分も開場を待つこととなってしまった。
それでも私の前にはこれだけの方々が並んでいらっしゃっていて、こうした大規模なスキー用品の予約会は今となってはこのカスタムフェアのみになっていることもあり、否が応でも今イベントへの期待感の高さを感じさせる。

早速テックピン搭載のダブルBOAブーツの捜索を開始した。
手っ取り早くBOAを各メーカーに提供するサプライヤー企業のブースで話を聞くと「テックピン搭載のダブルBOAブーツなら、すでに昨シーズンから多く出てますよ?」とか、完全に話の噛み合わない担当者に捕まってしまった。
「テックピン」を何か別のものと聞き間違いされた可能性もなくはないが、波乗り後の長時間運転のあとに、45分も開場を待たされたことと合わさって、それ以上その方と会話を続ける気にはなれなかった・・・

・・・というのは半分嘘で、同じ棚に来シーズン登場のブランニューモデルである『K2 TaroTamai SnowSurfer RS』が飾られているのが目に止まってしまった。
このカスタムフェアは、スキー用品のための展示予約会であったはず。
そのためスノーボード関連の出展があるなど夢にも思わなかったところに「なぜK2 TT SS RSが!?」と、テックピン搭載のダブルBOAのことなど、すっかりどこかに飛んでいってしまい「それはそうとこれは・・・」と、スタッフの方との会話を脱線させてしまった。
すると、K2のブースでこのRSが展示されていると言う。

そもそも来季モデルのスノーボードブーツを試す機会などそうそうない。
っていうか、来季モデルを試着する機会を用意するモデルなんて、メーカーがかなり力を入れて販売するものだけなのでそうそうあることではない。
それだけこのブーツに対するメーカーの自信と、事前に情報を拡散させるためのマーケティング戦略が同時に垣間見えるのですが、それでも試着の機会はそう多くはない。
そうした機会をことごとく逃してきた私は、スキー用品の予約会に、このスノーボードブーツが展示されていることの驚きと喜びで頭がまあまあ混乱してしまった。

というわけで、ダブルBOA搭載のスキーブーツのことは、文字通りに一旦棚に上げて、一目散にK2のブースに駆け込んだ。
すると、私のサイズでも試着できるものが用意されており、45分待ったおかげもあって一番乗りでK2 TT SS RSを試着させていただくことができた。

というわけで、試着した印象を結論から先に言わせていただくと
これはかなりイイ

とはいえそれは、10年に渡り熟成を重ねてきた『K2 TT SSシリーズ』の方向性に共感している者にとっての感想。
という但し書き付きのもの。
これまでの方向性を維持しつつ、新たな発想と技術によって、変わらぬ哲学をさらに高く、そして前進させてきていた。そうした熟成の仕方に対する賛辞であります。

膝の入りを良くするため、ブーツ自体を極限まで柔らかくする。
ただ柔らかくしただけでは、縦方向だけでなく、横方向にも動きすぎてしまい操作性が下がってしまう。
ある程度、足の横方向への入力を許しつつ、足首を軸に膝が縦に深く入るようにする。
言葉にすると簡単に聞こえるかもしれないが、それらの両立は決して一筋縄ではいかない難題だ。

その難題を解決するために、RSでは主にアッパーシェルの固定力を上げるために、実に多くの新たな措置が投じられていた。
しかも、固定力を個々人の個性に合わせるために、ユーザー自らカスタマイズできる余地が更に広げられていた。
そうした取り外しできるハーネスやパネルらがフルに装備された、マックスに固められた状態の、まだ慣らしの済んでいない新品の状態であっても、足首や膝の動きは一切規制されずに深く沈み込ませることができた。
しかも、まるでレールで制御されているかのように安定して正確な位置に膝が導かれるようにできている。
それでいて足首には横方向へのバッファが残されており、いたって普通のスノーボードブーツとしての感触もしっかりと維持されているのには驚いた。

手練れた乗り手など、こうした管理された動かせ方に違和感を感じる方もいると思うが、こうした「余計なお節介」ともとれる部分に、アイデアや新しい技術を惜しみなく投入する姿勢は、道具の進化として正しいことだと私は信じたい。

話は少々逸れるのですが、こちらの『DYNAFIT RADICAL PRO』は、バックカントリースキーにおけるハイクと滑走という二つの用途を同時に達成するためのアイデアを、世界で一番取り込んだスキーブーツだと私は思う。
基本、足をガチガチに固めながら、快適性を図ろうとするアルペンスキーブーツをBC用に改良するライバルメーカーとは違い、滑走だけでなく、歩くことも視野に入れなければならないバックカントリーを前提にしたブーツ作りをつづけるDYNAFITのブーツのあり様が、私にはどこかK2 TT SnowSurferと共通して感じられてしまう。
今回RADICAL PROは、滑走時の固定力と、歩く際の足首の自由度の両立のために、タンとそれを支えるカフの構造を見直してきた。
K2 TT SS RSでも同様に、膝が深く入りながらも、操作レスポンスを下げないために、新たなタンとカフの構造を投入していた。
どちらも「硬さ」と「柔軟性」の両立に腐心しながら、タンの構造にその活路を見出している。

K2の方のお話だと注文はまだ間に合うとのことでありました。
とはいえ私の場合、現在履いているK2 TT SS LSもまだまだ使えるし、何より、本革に覆われたシェルは、共に過ごした時間を象徴するような良いヤレ方をしていて、愛着も湧いてとても気に入っている。
RSにもレザーバージョンが追加されたりすることを夢見つつ、次の27−28シーズンに果たしてどういったアップデートが施されるのか、今から楽しみに待つことにしよう・・・とか言いながら、もしも出物が目の前に転がり込んできたりしたら例によって分からんけど・・・

スキーブーツを観に来たのに、スノーボードブーツであるK2 TTを履いたら十分満足してしまった。
というわけで、あとはさらっと会場を流しさっさと退場することにした。
ちなみに、テックピン搭載のダブルBOAのスキーブーツは今年も登場しない様子。
BOAはハイク時にアッパーシェルの拘束を解放して歩きやすくすることに向いていないのかもしれない。
やっぱりラクをしようとBOAに寄り道などせずに『DYNAFIT RADICAL PRO』のような潔いブーツを選ぶ方が自分向きな選択なのかもしれない。

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